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し。客人来れども、外に出でてあいしらうべき人もなし。夜のくらきにはねやすさまじく、はかをみればしるしはあれども声もきこえず。また思いやる、死出の山・三途の河をば誰とか越え給うらん。ただ独り歎き給うらん。とどめおきし御前たち、いかに我をばひとりやるらん、さはちぎらざりとや歎かせ給うらん。かたがた、秋の夜のふけゆくままに、冬の嵐のおとずるる声につけても、いよいよ御歎き重り候らん。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。
弘安元年戊寅九月六日 日蓮 花押
妙法尼御前御かたへ
(410)
妙法比丘尼御前御返事
弘安4年(ʼ81) 60歳 妙法尼
明衣一つ、給び畢わんぬ。
女人の御身、男にもおくれ、親類をもはなれ、一、二人あるむすめも、はかばかしからず便りなき上、法門の故に人にもあだまれさせ給う女人、さながら不軽菩薩のごとし。
仏の御姨母・摩訶波闍波提比丘尼は、女人ぞかし。しかるに、阿羅漢とならせ給いて、声聞の御名
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(409)妙法比丘尼御返事 | 弘安元年(’78)9月6日 | 57歳 | 妙法尼 |
(410)妙法比丘尼御前御返事 | 弘安4年(’81) | 60歳 | 妙法尼 |