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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

をしのび、法華経を弘めさせ給う。彼の比丘尼には雲泥勝れてありと、仏は霊山にて御覧あるらん。彼の比丘尼の御名を一切衆生喜見仏と申すは別のことにあらず、今の妙法尼御前の名にて候べし。
 王となる人は、過去にても現在にても、十善を持つ人の名なり。名はかわれども、師子の座は一つなり。この名もかわるべからず。
 彼の仏の御言をさかがえす尼だにも一切衆生喜見仏となづけらる。これは仏の言をたがえず、この娑婆世界まで、名を失い、命をすつる尼なり。彼は養母として捨て給わず、これは他人として捨てさせ給わば、偏頗の仏なり。いかでか、さることは候べき。いわんや、「その中の衆生は、ことごとくこれ吾が子なり」の経文のごとくならば、今の尼は女子なり、彼の尼は養母なり。養母を捨てずして女子を捨つる仏の御意やあるべき。この道理を深く御存知あるべし。しげければ、とどめ候い畢わんぬ。
    日蓮 花押
 妙法尼御前