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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

ぬ。なさけなかりける無常かな、無常かな。
 かかるなさけなき国をばいといすてさせ給いて、故五郎殿の御信用ありし法華経につかせ給いて、常住不壊のりょう山浄土へまいらせさせ給え。ちちは、りょうぜんにまします。母は娑婆にとどまれり。二人の中間におわします故五郎殿の心こそおもいやられて、あわれにおぼえ候え。事多しと申せども、とどめ候い了わんぬ。恐々謹言。
  十月二十四日    日蓮 花押
 上野殿母尼御前御返事

(335)

上野尼御前御返事(烏竜遺竜の事)

 弘安3年(ʼ80)11月15日 59歳 上野尼

 麞牙一駄四斗定・あらいいも一俵、送り給びて、南無妙法蓮華経と唱えまいらせ候い了わんぬ。
 妙法蓮華経と申すは、蓮に譬えられて候。天上には摩訶曼陀羅華、人間には桜の花、これらはめでたき花なれども、これらの花をば法華経の譬えには仏取り給うことなし。一切の花の中に、取り分けてこの花を法華経に譬えさせ給うことは、その故候なり。あるいは前花後菓と申して、花は前に菓