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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(334)

上野殿母御前御返事(四十九日菩提の事)

 弘安3年(ʼ80)10月24日 59歳 上野尼

 南条故七郎五郎殿の四十九日御菩提のために送り給う物の日記のこと。鵝目両ゆい・白米一駄・芋一駄・すりどうふ・こんにゃく・柿一籠・ゆ五十等云々。
 御菩提の御ために、法華経一部・自我偈数度・題目百千返、唱え奉り候い畢わんぬ。
 そもそも法華経と申す御経は、一代聖教には似るべくもなき御経にて、しかも「ただ仏と仏とのみ」と説かれて、仏と仏とのみこそしろしめされて、等覚已下、乃至凡夫は叶わぬことに候え。されば、竜樹菩薩の大論には、「仏已下はただ信じて仏になるべし」と見えて候。
 法華経の第四の法師品に云わく「薬王よ。今汝に告ぐ。我が説くところの諸経、しかもこの経の中において、法華は最も第一なり」等云々。第五の巻に云わく「文殊師利よ。この法華経は、諸仏如来の秘密の蔵にして、諸経の中において最もその上に在り」等云々。第七の巻に云わく「この法華経もまたかくのごとく、諸経の中において、最もこれその上なり」。また云わく「最もこれ照明なり。最もこれその尊なり」等云々。これらの経文、私の義にあらず。仏の誠言にて候えば、定めてよもあやまりは候わじ。