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一念三千の法門をふりすすぎたてたるは大曼荼羅なり。当世の習いそこないの学者、ゆめにもしらざる法門なり。天台・妙楽・伝教、内にはかがみさせ給えども、ひろめ給わず。「一色一香」とののしり、「耳を惑わし心を驚かす」とささやき給いて、妙法蓮華と云うべきを円頓止観とかえさせ給いき。
されば、草木成仏は死人の成仏なり。これらの法門は知る人すくなきなり。詮ずるところ、妙法蓮華をしらざる故に迷うところの法門なり。あえて忘失することなかれ。恐々謹言。
二月二十日 日蓮 花押
最蓮房御返事
(278)
最蓮房御返事
文永9年(ʼ72)4月13日 51歳 最蓮房
御札の旨、委細に承り候い畢わんぬ。都よりの種々の物、たしかに給び候い畢わんぬ。鎌倉に候いし時こそ、常にかかる物は見候いつれ。この島に流罪せられし後は、いまだ見ず候。これ体の物は、辺土の小島にてはよによにめでたきことに思い候。
御状に云わく「去ぬる二月の始めより御弟子となり、帰伏仕り候上は、今より以後は、人数なら
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(277)草木成仏口決 | 文永9年(’72)2月20日 | 51歳 | 最蓮房 |
(278)最蓮房御返事 | 文永9年(’72)4月13日 | 51歳 | 最蓮房 |