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これへ流されしには一人も訪う人もあらじとこそおぼせしかども、同行七・八人よりは少なからず。上下のかても各の御計らいなくば、いかがせん。これひとえに、法華経の文字の各の御身に入り替わらせ給いて御助けあるとこそ覚ゆれ。
いかなる世の乱れにも各々をば法華経・十羅刹助け給えと、湿れる木より火を出だし、乾ける土より水を儲けんがごとく、強盛に申すなり。事繁ければ、とどめ候。
日蓮 花押
四条金吾殿御返事
(197)
主君耳入此法門免与同罪事(与同罪を免るるの事)
文永11年(ʼ74)9月26日 53歳 四条金吾
銭二貫文、給び畢わんぬ。
有情の第一の財は、命にはすぎず。これを奪う者は、必ず三途に堕つ。しかれば、輪王は十善の始めには不殺生。仏の小乗経の始めには五戒、その始めには不殺生。大乗の梵網経の十重禁の始めには不殺生。法華経の寿量品は釈迦如来の不殺生戒の功徳に当たって候品ぞかし。されば、殺生をなす
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(196)呵責謗法滅罪抄 | 文永10年(’73) | 52歳 | (四条金吾) |
(197)主君耳入此法門免与同罪事(与同罪を免るるの事) | 文永11年(’74)9月26日 | 53歳 | 四条金吾 |