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刹那なるべし。委しくはまたまた申すべく候。恐惶謹言。
五月二日 日蓮 花押
四条金吾殿御返事
(195)
四条金吾殿御返事(梵音声の事)
文永9年(ʼ72)9月 51歳 四条金吾
夫れ、斉の桓公と申せし王、紫をこのみて服給いき。楚の荘王といいし王は、女の腰のふときことをにくみしかば、一切の遊女、腰をほそからせんがために、餓死しけるものおおし。しかれば、一人の好むことをば、我が心にあわざれども、万民随いしなり。たとえば、大風の草木をなびかし、大海の衆流をひくがごとし。風にしたがわざる草木は、おれうせざるべしや。小河、大海におさまらずば、いずれのところにおさまるべきや。国王と申すことは、先生に万人にすぐれて大戒を持ち、天地および諸神ゆるし給いぬ。その大戒の功徳をもちて、その住むべき国土を定む。二人三人等を王とせず。地王・天王・海王・山王等、ことごとく来臨してこの人をまぼる。いかにいわんや、その国中の諸民、その大王を背くべしや。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(194)四条金吾殿御返事(煩悩即菩提の事) | 文永9年(’72)5月2日 | 51歳 | 四条金吾 |
(195)四条金吾殿御返事(梵音声の事) | 文永9年(’72)9月 | 51歳 | 四条金吾 |