1506ページ
誦せさせて、三明六通の阿羅漢・辟支仏・等覚の菩薩となせる一人の檀那と、世間・出世の財を一分も施さぬ人の法華経ばかりを一字・一句・一偈持つ人と相対して功徳を論ずるに、法華経の行者の功徳勝れたること百千万億倍なり。天台大師これに勝れたること五倍なり。かかる人を供養すれば福を須弥山につみ給うなりと伝教大師ことわらせ給いて候。この由を女房には申させ給え。恐々謹言。
花押
大夫志殿御返事
(187)
八幡宮造営事
弘安4年(ʼ81)5月26日 60歳 池上宗仲・池上宗長
この法門申し候こと、すでに二十九年なり。日々の論義、月々の難、両度の流罪に、身つかれ心いたみ候いし故にや、この七・八年が間、年々に衰病おこり候いつれども、なのめにて候いつるが、今年は正月よりその気分出来して、既に一期おわりになりぬべし。その上、齢既に六十にみちぬ。たとい十に一つ今年はすぎ候とも、一・二をばいかでかすぎ候べき。
「忠言耳に逆らい、良薬口に苦し」とは先賢の言なり。やせ病の者は命をきらう、佞人は諫めを用
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(186)大夫志殿御返事(付法蔵列記の事) | 弘安3年(’80) | 59歳 | 池上宗仲 |
(187)八幡宮造営事 | 弘安4年(’81)5月26日 | 60歳 | 池上宗仲・池上宗長 |