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ば、題目をはなれて法華経の心を尋ぬる者は、猿をはなれて肝をたずねしはかなき亀なり。山林をすてて菓を大海の辺にもとめし猿猴なり。はかなし、はかなし。
建治三年丁丑霜月二十八日 日蓮 花押
曽谷次郎入道殿
(167)
曽谷殿御返事(輪陀王の事)
弘安2年(ʼ79)8月17日 58歳 曽谷道宗
焼き米二俵、給び畢わんぬ。
米は少しと思しめし候えども、人の寿命を継ぐものにて候。命をば、三千大千世界にても買わぬ物にて候と、仏は説かせ給えり。米は命を継ぐ物なり。譬えば、米は油のごとく、命は灯のごとし。法華経は灯のごとく、行者は油のごとし。檀那は油のごとく、行者は灯のごとし。
一切の百味の中には、乳味と申して牛の乳第一なり。涅槃経の七に云わく「なお諸味の中に乳は最もこれ第一なるがごとし」云々。乳味をせんずれば酪味となる。酪味をせんずれば、乃至醍醐味となる。醍醐味は五味の中の第一なり。法門をもって五味にたとえば、儒家の三千、外道の十八大経は衆
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(166)曽谷入道殿御返事(如是我聞の事) | 建治3年(’77)11月28日 | 56歳 | 曽谷教信 |
(167)曽谷殿御返事(輪陀王の事) | 弘安2年(’79)8月17日 | 58歳 | 曽谷道宗 |