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しかるに、日蓮が一るい、いかなる過去の宿じゅうにや、法華経の題目のだんなとなり給うらん。これをもっておぼしめせ、今、梵天・帝釈・日月・四天、天照太神・八幡大菩薩、日本国の三千一百三十二社の大小のじんぎは、過去の輪陀王のごとし。白馬は日蓮なり。白鳥は我らが一門なり。白馬のなくは我らが南無妙法蓮華経のこえなり。この声をきかせ給う梵天・帝釈・日月・四天等、いかでか色をましひかりをさかんになし給わざるべき、いかでか我らを守護し給わざるべきと、つよづよとおぼしめすべし。
そもそも、貴辺の去ぬる三月の御仏事に鵝目その数有りしかば、今年一百よ人の人を山中にやしないて、十二時の法華経をよましめ、談義して候ぞ。これらは末代悪世には一えんぶだい第一の仏事にてこそ候え。いくそばくか過去の聖霊もうれしくおぼすらん。釈尊は孝養の人を世尊となづけ給えり。貴辺あに世尊にあらずや。
故大進阿闍梨のことなげかしく候えども、これまた法華経の流布の出来すべきいんえんにてや候らんとおぼしめすべし。事々、命ながらえば、その時申すべし。
弘安二年己卯八月十七日 日蓮 花押
曽谷道宗御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(167)曽谷殿御返事(輪陀王の事) | 弘安2年(’79)8月17日 | 58歳 | 曽谷道宗 |