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外典三千余巻は、政道の相違せるに依って代は濁ると明かす。内典五千・七千余巻は、仏法の僻見に依って代濁るべしとあかされて候。今の代は、外典にも相違し内典にも違背せるかのゆえに、二つの大科一国に起こって、すでに亡国とならんとし候か。不便、不便。
七月二日 日蓮 花押
大田殿女房御返事
(160)
三大秘法稟承事(三大秘法抄)
弘安4年(ʼ81)4月8日 60歳 大田乗明
夫れ、法華経の第七の神力品に云わく「要をもってこれを言わば、如来の一切の所有の法、如来の一切の自在の神力、如来の一切の秘要の蔵、如来の一切の甚深の事は、皆この経において宣示顕説す」等云々。釈に云わく「経中の要説、要は四事に在り」等云々。
問う。説くところの要言の法とは、何物ぞや。
答えて云わく、夫れ、釈尊初成道より四味三教、乃至法華経の広開三顕一の席を立って略開近顕遠を説かせ給いし涌出品まで秘せさせ給いしところの、実相証得の当初修行し給いしところの寿量品の
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(159)大田殿女房御返事(即身成仏抄) | 弘安3年(’80)7月2日 | 59歳 | 大田乗明の妻 |
(160)三大秘法稟承事(三大秘法抄) | 弘安4年(’81)4月8日 | 60歳 | 大田乗明 |