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候え。
太田入道殿のかたがたのもの、ときどのの日記のごとく給び候い了わんぬ。この法門のかたづらは左衛門尉殿にかきて候。こわせ給いて御らんあるべく候。
(140)
常忍抄
弘安元年(ʼ78)10月1日 57歳 富木常忍
御文ほぼ拝見仕り候い了わんぬ。
御状に云わく、常忍云わく「記の九に云わく『権を稟けて界を出ずるを、名づけて虚出と為す』と」云々。了性房云わく「全くもってその釈無し」云々。
記の九〈寿量品の処〉に云わく「無有虚出より昔虚為実故に至るまでは、為の字は去声なり。権を稟けて界を出ずるを、名づけて虚出と為す。三乗は皆三界を出でざることなし。人天は三途を出でんがためならざることなし。ならびに名づけて虚と為す」云々。文句の九に云わく「虚出にしてしかも実に入らざる者有ることなし。故に知んぬ、昔の虚は実の為〈去声〉の故なり」云々。寿量品の経に云わく「諸の善男子よ。如来は諸の衆生の小法を楽える徳薄・垢重の者を見て乃至諸の衆生は、もって
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(139)治病大小権実違目 | 弘安元年(’78)6月26日 | 57歳 | 富木常忍 |
(140)常忍抄 | 弘安元年(’78)10月1日 | 57歳 | 富木常忍 |