SOKAnetトップ

『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

は妙楽の問答これ有り。記の九を見るべし。初随喜に二つ有り。利根の行者は持戒を兼ねたり。鈍根は持戒これを誓止す。また、正像末の不同もあり。摂受・折伏の異なりあり。伝教大師の市の虎のこと、思い合わすべし。
 これより後は、下総にては御法門候べからず。了性・思念をつめつる上は、他の人と御論候わばかえりてあさくなりなん。彼の了性と思念とは、年来、日蓮をそしるとうけたまわる。彼ら程の蚊虻の者が、日蓮程の師子王を聞かず見ずして、うわのそらにそしる程のおこじんなり。天台法華宗の者ならば、我は南無妙法蓮華経と唱えて念仏なんど申す者をば「あれは、さること」なんど申すだにもきかいなるべきに、その義なき上、たまたま申す人をそしるじょう、あらふしぎ、あらふしぎ。
 大進房がこと、さきざきかきつかわして候ように、つよづよとかき上げ、申させ給い候え。大進房には十羅刹のつかせ給いて、引きかえしせさせ給うとおぼえ候ぞ。また、魔王の使者なんどがつきて候いけるが、はなれて候とおぼえ候ぞ。「悪鬼入其身」は、よもそら事にては候わじ。
 事々重く候えども、この使いいそぎ候えば、よるかきて候ぞ。恐々謹言。
  十月一日    日蓮 花押