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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(139)

治病大小権実違目

 弘安元年(ʼ78)6月26日 57歳 富木常忍

 富木入道殿御返事    日蓮

 御消息に云わく「およそ疫病いよいよ興盛なり」等云々。
 夫れ、人に二つの病あり。一には身の病。いわゆる、地大百一、水大百一、火大百一、風大百一、已上四百四病なり。この病は、たとい仏にあらざれどもこれを治す。いわゆる治水・流水・耆婆・扁鵲等が方薬、これを治するにいゆて愈えずということなし。二には心の病。いわゆる三毒乃至八万四千の病なり。この病は二天三仙・六師等も治し難し。いかにいわんや、神農・黄帝等の方薬及ぶべしや。
 また心の病、重々に浅深・勝劣分かれたり。六道の凡夫の三毒・八万四千の心の病は、小仏・小乗の阿含経、俱舎・成実・律宗の論師・人師、これを治するにゆいて愈えぬべし。ただし、この小乗の者等、小乗を本として、あるいは大乗を背き、あるいは心には背かざれども大乗の国に肩を並べなんとする、その国・その人に諸病起こる。小乗等をもってこれを治すれば、諸病は増すとも治せらるることなし。諸大乗経の行者をもってこれを治すれば、則ち平愈す。また、華厳経・深密経・般若経・