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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

  御義口伝に云わく、この本末の意、分明なり。中に「竪に高く横に広し」とは、「竪」は本門なり、「横」は迹門なり。「根」とは、草木なり。草木は上へ登る。これは迹門の意なり。「源」とは、本門なり。源は水なり。水は下へくだる。これは本門の意なり。「条茂し」とは、迹門十四品なり。「流れ長し」とは、本門十四品なり。「智慧」とは、一心の三智なり。「門」とは、この智慧に入るところの能入の門なり。「三智の体」とは、南無妙法蓮華経なり。「門」とは、信心のことなり。ここをもって第二の巻に「以信得入」と云う。「入」と「門」とはこれ同じきなり。今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るを、「智慧」とは云うなり。
  譬喩品に云わく「唯有一門(ただ一門のみ有り)」。「門」において、有門・空門・亦有亦空門・非有非空門あるなり。有門は、生なり。空門は、死なり。亦有亦空門は、生死一念なり。非有非空門は、生にあらず、死にあらず。有門は、題目の文字なり。空門は、この五字に万法を具足して凝らざる義なり。亦有亦空門は、五字に具足する本迹なり。非有非空門は、一部の意なり。この内証は、法華已前の二乗の智慧の及ばざるところなり。文句の三に云わく「七種の方便、測度すること能わず」。今、日蓮等の類いは、この智慧に得入するなり。よって、偈頌に「除諸菩薩衆 信力堅固者(諸の菩薩衆の、信力堅固なる者を除く)」と云うは、我ら行者のことを説くなり云々。
第三 「唯以一大事因縁(ただ一大事の因縁をもって)」の事
  文句の四に云わく「『一』は則ち一実相なり。五にあらず、三にあらず、七にあらず、九にあらず。故に『一』と言うなり。その性、広博にして、五・三・七・九より博し。故に名づけて『大』