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より外に不思議これ無し。大謗法の人たりというとも、妙法蓮華経を受持し奉るところを、妙法蓮華経方便品とは云うなり。今、末法に入って、正しく日蓮等の類いのことなり。妙法蓮華経の体内に爾前の人法を入るるを、妙法蓮華経方便品とは云うなり。これを即身成仏とも如是本末究竟等とも説く。
また、「方便」とは、十界のことなり、または無明なり。妙法蓮華経は、十界の頂上なり、また法性なり。煩悩即菩提・生死即涅槃これなり。
「円をもって即となす」とは、一念三千なり。妙と即とは、同じものなり。「一字の一念三千」ということは、円(圓)と妙とを云うなり。円とは、諸法実相なり。円とは、釈に云わく「円は円融円満に名づく」。円融は迹門、円満は本門なり。または止と観との二法なり。または我らが色心の二法なり。
「一字の一念三千」とは、恵心流の秘蔵なり。「囗」は一念なり、「員」は三千なり。一念三千とは、不思議ということなり。この妙とは前の三教にいまだこれを説かず。故に「秘」と云うなり。故に知んぬ、南無妙法蓮華経は、一心の方便なり。妙法蓮華経は、九識なり。十界は、八識已下なり。心を留めてこれを案ずべし。「方」とは即ち十方、十方は即ち十界なり。「便」とは、不思議ということなり云々。
第二 「諸仏智慧甚深無量。其智慧門(諸仏の智慧は甚深無量なり。その智慧の門は)」の事
文句の三に云わく「まず実を歎じ、次に権を歎ず。実とは、『諸仏智慧』なり。三種の化他の権
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(095)御義口伝 |