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御義口伝に云わく、この文は此土・他土の瑞同じくして長出せるを頌す。「無問自説」とは、釈迦如来、妙法蓮華経を無問自説したもうなり。今、日蓮等の類いは、無問自説なり。「念仏無間、禅天魔、真言亡国、律国賊」と喚ぶことは、無問自説なり。三類の強敵の来ることは、この故なり。「天鼓」とは、南無妙法蓮華経なり。「自然」とは、無障礙なり。「鳴」とは、唱うるところの音声なり。
一義に、一切衆生の語言音声を自在に出だすは「無問自説」なり。「自説」とは、獄卒の罪人を呵責する音、餓鬼の飢饉の音声等、一切衆生の貪・瞋・癡の三毒の念々等を自説とは云うなり。この音声の体とは、南無妙法蓮華経なり。
本迹両門の妙法蓮華経の五字は「天鼓」なり。「天」とは、第一義天なり。「自説」とは、自受用の説法なり。記の三に云わく「『無問自説を表す』とは、方便の初めに三昧より起って舎利弗に告ぐ。広歎・略歎、此土・他土、寄言・絶言、もしは境、もしは智、これ乃ち一経の根本、五時の要津なり。このこと軽からず」。この釈に「一経の根源、五時の要津」とは、南無妙法蓮華経これなり云々。
方便品八箇の大事
第一 「方便品」の事
文句の三に云わく「『方』とは、秘なり。『便』とは、妙なり。妙に方に達するに、即ちこれ真の
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(095)御義口伝 |