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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

に事う。これによって族に命づく。火に二義有り。照らすなり、焼くなり。照らせば即ち闇生ぜず、焼けば則ち物生ぜず。これは『不生』をもって姓となす」。
  御義口伝に云わく、「火」とは、法性の智火なり。火の二義とは、一つの「照らす」は、随縁真如の智なり。一つの「焼く」は、不変真如の理なり。「照」「焼」の二字は、本迹二門なり。さて、火の能作としては「照らす」「焼く」の二徳を具うる南無妙法蓮華経なり。
  今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉るは、生死の闇を照らし晴らして、涅槃の智火明了なり。生死即涅槃と開覚するを、「照らせば則ち闇生ぜず」とは云うなり。煩悩の薪を焼いて、菩提の慧火現前するなり。煩悩即菩提と開覚するを、「焼けば則ち物生ぜず」とは云うなり。ここをもってこれを案ずるに、「陳如」は我ら法華経の行者の煩悩即菩提・生死即涅槃を顕したり云々。
第三 「阿闍世王」の事
  文句の一に云わく「『阿闍世王』とは、未生怨と名づく」。また云わく「大経に云わく『阿闍世とは、未生怨と名づく』と」。また云わく「大経に云わく『阿闍は不生と名づけ、世とは怨と名づく』と」。
  御義口伝に云わく、日本国の一切衆生は「阿闍世王」なり。既に諸仏の父を殺し、法華経の母を害するなり。無量義経に云わく「諸仏の国王とこの経の夫人と和合して、共にこの菩薩の子を生ず」。謗法の人、今は母の胎内に処しながら法華の怨敵たり。あに「未生怨」にあらずや。その上、日本国当世は三類の強敵なり。「世者名怨(世とは怨と名づく)」の四字、心を留めてこれを案ずべし。