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験らけし、余はいまだ堪えざること」云々。
問う。何が故ぞ他方を止めて本眷属を召すや。
答う。私の義有るべからず。霊山の聴衆たる天台の所判に任すべし。疏に云わく「涌出を三つとなす。一には他方の菩薩、弘経を請う。二には如来許したまわず。三には下方の涌出なり。他方の菩薩は、経を通ずる福の大いなることを聞いて、ことごとく願を発し、この土に住して弘宣せんと欲するが故に、これを為さんことを請う。如来これを止めたもう」等云々。
結要付嘱のこと
初めに称歎付嘱 「爾時仏告」より「猶不能尽」まで
結要勧持に四つ 二に結要付嘱 「以要言之」より「宣示顕説」まで
三に正勧付嘱 「是故汝等」より「起塔供養」まで
四に釈勧付嘱 「所以者何」より「而般涅槃」まで
疏の十に云わく「『爾時仏告上行(その時、仏は上行に告げたまわく)』より下は、これ第三に結要付嘱なり」云々。また云わく「結要に四句有り。『一切法』とは、一切皆これ仏法なり。これは一切皆妙名なるを結するなり。『一切力』とは、通達無礙にして八自在を具す。これは妙用を結するなり。『一切秘蔵』とは、一切処に遍して皆これ実相なり。これは妙体を結するなり。『一切深事』とは、因果はこれ深事なり。これは妙宗を結するなり。『皆於此経宣示顕説(皆この経において宣示顕説す)』とは、総じ
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(091)上行菩薩結要付嘱口伝 |