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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

することを得しむべし。所以はいかん。如来は大慈悲有って諸の慳悋無く、また畏るるところ無くして、能く衆生に仏の智慧・如来の智慧・自然の智慧を与う。如来はこれ一切衆生の大施主なり。汝等はまた応にしたがって如来の法を学すべし。慳悋を生ずることなかれ』と」云々。
 文句の九〈涌出品の下〉に云わく「如来これを止めたもうに、およそ三義有り。汝等各々に自ら己が任有り。もしこの土に住せば、彼の利益を廃せん。また他方はこの土に結縁のこと浅し。宣授せんと欲すといえども、必ず巨益無からん。またもしこれを許さば、則ち下を召すことを得ず。下もし来らずんば、迹をば破することを得ず、遠をば顕すことを得ず。これを、三義もて如来これを止めたもうとなす。下方を召して来らしむるに、また三義有り。これ我が弟子、応に我が法を弘むべし。縁の深広なるをもって、能くこの土に遍して益し、分身の土に遍して益し、他方の土に遍して益す。また開近顕遠することを得。この故に彼を止めて下を召すなり」云々。
 記に云わく「問う。諸の仏菩薩は共に未熟を熟す。何の彼此有って、分身散影して、あまねく十方に遍するに、しかも『己が任』および『彼を廃せん』と言うや。答う。諸の仏菩薩は実に彼此無し。ただ機に在無有るのみ。無始より法爾なり。故に、第二の義をもって初めの義を顕して、『結縁のこと浅し』と云う。初めこの仏菩薩に従って結縁し、またこの仏菩薩において成就す」云々。また云わく「子、父の法を弘む。世界の益有り」云々。記の八に云わく「『薬王に因って』とは、本薬王に託し、これに因って余に告ぐ。これ流通の初めなり。先に『八万の大士に告げたまわく』とは、大論に云わく『法華はこれ秘密なれば、諸の菩薩に付す』。下の文に下方を召すがごときは、なお本眷属を待つ。