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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

は哀音を引いて人心を蕩かす。遠近しかしながら専修の一行に帰し、緇素ほとんど顕密の両教を褊す。仏法の衰減しかもこれに由る。自由の奸悪、誠に禁じても余り有り。
 ここをもって、教雅法師においては本源を温ねて遠流し、この外、同行の余党等、たしかにその行を帝土の中に停廃し、ことごとくその身を洛陽の外に追却せよ。ただし、あるいは自行のため、あるいは化他のために、至心専念・如法修行の輩においては制の限りに在らず。
  天福二年六月晦日    藤原中納言権弁 奉る
  天福二年、文暦と改む。四条院の御宇、後堀河院の太子なり。武蔵前司入道殿の御時なり。

 〔祇園の執行に仰せ付けらるる山門の下知状〕
 大衆の僉議に云わく「専修念仏の者、天下に繁昌す。これ則ち近年山門無沙汰の致すところなり。件の族は、八宗仏法の怨敵なり。円頓行者の順魔なり。まず京都往返の類い、在家称名のところにおいては、例に任せ、犬神人に仰せてよろしく停止せしむべし」云々。ていれば、大衆の僉議の旨かくのごとし。早く先例に任せ、犬神人等に仰せ含めて、専修念仏の者を停止せしめ給うべし云々。恐々謹言。
  延応二年五月十四日    公文勾当審賢
   四条院の御宇、武蔵前司殿の御時なり。
 謹上 祇園の執行法眼御房