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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

ひとえに今案をもって仏号を唱うと為さしめ、みだりに邪音を作し、将に放逸の人心を蕩かさんとす。見聞満座の処には賢善の形を現ずといえども、寂寞破窓の夕べには流俗の睡りに異ならず。これ則ち発心の修善にあらず、濫行の奸謀を企つるなり。あに、仏陀の元意、僧徒の所行と謂わんや。
 よろしく有司に仰せて、たしかに糾断せしむべし。もしなお違犯の者は、罪科の趣、一に先符に同じ。ただし、道心修行の人をして、もって仏法違越の者に濫ぜしむることなかれ。さらに弥陀の教説を忽せにするにあらず。ただ釈氏の法文を全からしめんとなり。兼ねては、また、諸寺執務の人、五保監行の輩、聞知して言わずんば、与同罪かつて寛宥せざれ。ていれば、よろしく承知して宣旨によってこれを行うべし。
  建保七年閏二月八日    大史小槻宿禰 在判

謹んで請く 綱所
 宣旨一通、載せらるるは、応に諸寺の執務人に下知して、専修念仏の輩を糾断せしむべきこと。
 右、宣旨の状に任せ、諸寺に告げ触るべきの状、謹んで請くるところ、件のごとし。
  建保七年閏二月二十二日これを行う。

 頃年以来、無慙の徒、不法の侶、如々の戒行を守らず、処々の厳制を恐れず、ほしいままに念仏の別宗を建て、みだりに衆僧の勤学を謗ず。しかのみならず、内には妄執を凝らして仏意に乖き、外に