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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 夫れ、仏法は王法の崇高によって威を増し、王法は仏法の擁護によって長久たり。正法を学ぶ僧をもって外道と称せらるるの条、理あにしかるべけんや。外道か外道にあらざるか、早く厳誉律師と召し合わせられ、真偽を糾されんと欲す。
 かつ、去ぬる文応年中、師匠・日蓮聖人、仏法の廃れたるを見、未来の災いを鑑み、諸経の文を勘えて、一巻の書〈立正安国論〉を造る。異国の来難、果たしてもって符合し畢わんぬ。未萌を知るは聖と謂うべきか。大覚世尊、霊山・虚空の二処三会、二門八年の間、三重の秘法を説き窮むといえども、仏の滅後二千二百三十余年の間、月氏の迦葉・阿難・竜樹・天親等の大論師、漢土の天台・妙楽、日本の伝教大師等、内にはこれを知るといえども、外にはこれを伝えず。第三の秘法、今に残すところなり。これひとえに、末法闘諍の始め、他国来難の刻み、一閻浮提の中に大合戦起こらんの時、国主この法を用いて兵乱に勝つべきの秘術なり。経文赫々たり、所説明々たり。彼といい、これといい、国のため、世のため、もっとも尋ね聞こしめさるべきものなり。よって、状を勒するに各言上すること、件のごとし。
  弘安元年三月 日    承賢
              賢秀
              日持
              日興