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第六に天道とは二つ有り。欲天には十善を持って生まる。色・無色天には、下地は麤・苦・障、上地は静・妙・離の六行観をもって生まる。
問うて云わく、六道の生因はかくのごとし。そもそも、同じき時に五戒を持って人界の生を受くるに、何ぞ、生盲・聾・瘖瘂・矬陋・攣躄・背傴・貧窮・多病・瞋恚等、無量の差別有りや。
答えて云わく、大論に云わく「もしは衆生の眼を破り、もしは衆生の眼を屈り、もしは正見の眼を破り、罪福無しと言わん。この人死して地獄に堕ち、罪畢わって人となり、生まれてより盲なり。もしはまた仏塔の中の火珠および諸の灯明を盗む。かくのごとき等の種々の先世の業の因縁もて眼を失うなり○聾とは、これ先世の因縁は、師父の教訓をば受けず、行ぜず、しかも反って瞋恚す。この罪をもっての故に聾となる。また次に衆生の耳を截り、もしは衆生の耳を破り、もしは仏塔・僧塔、諸の善人、福田の中の犍稚・鈴・貝および鼓を盗むが故に、この罪を得。先世に他の舌を截り、あるいはその口を塞ぎ、あるいは悪薬を与えて語ることを得ざらしめ、あるいは師の教え、父母の教勅を聞き、その語を断つ○世に生まれて人となり、啞にして言うこと能わず○先世に他の坐禅を破り、坐禅の舎を破り、諸の呪術をもって人を呪して、瞋らせ闘諍・婬欲あらしむ。今世に諸の結使厚重なること、婆羅門の、その稲田を失い、その婦また死して、即時に狂発し、裸形にして走りしがごとし○先世に仏・阿羅漢・辟支仏の食および父母・所親の食を奪えば、仏世に値うといえども、なお飢渇す。罪の重きをもっての故なり○先世に好んで鞭杖・拷掠・閉繫を行じ、種々に悩ますが故に、今世に病を得○先世に他の身を破り、その頭を截り、その手足を斬り、種々の身分を破り、あるいは仏像を壊
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(026)十法界明因果抄 | 文応元年(’60)4月21日 | 39歳 |