『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

　　　　沙門日蓮撰す。
　八十華厳経六十九に云わく「普賢道に入ることを得て、十法界を了知す」。法華経第六に云わく「地獄声、畜生声、餓鬼声、阿修羅声、比丘声・比丘尼声〈人道〉、天声〈天道〉、声聞声、辟支仏声、菩薩声、仏声」〈已上、十法界の名目なり〉。
　第一に地獄界とは、観仏三昧経に云わく「五逆罪を造り、因果を撥無し、大乗を誹謗し、四重禁を犯し、虚しく信施を食するの者、この中に堕つ」〈阿鼻地獄なり〉。正法念経に云わく「殺・盗・婬欲・飲酒・妄語の者、この中に堕つ」〈大叫喚地獄なり〉。正法念経に云わく「昔、酒をもって人に与えて酔わしめ已わって、調戯してこれを翫び、彼をして羞恥せしむるの者、この中に堕つ」〈叫喚地獄なり〉。正法念経に云わく「殺生・偸盗・邪婬の者、この中に堕つ」〈衆合地獄なり〉。涅槃経に云わく「殺に三種有り。謂わく下・中・上なり。下とは、蟻子乃至一切の畜生なり乃至下殺の因縁をもって地獄に堕ち乃至つぶさに下の苦を受く」文。
　問うて云わく、十悪五逆等を造って地獄に堕つることは、世間の道俗皆これを知れり。謗法によっ