448ページ
(025)
災難対治抄
正元2年(ʼ60)2月 39歳
国土に起こる大地震・非時の大風・大飢饉・大疫病・大兵乱等の種々の災難の根源を知って対治を加うべき勘文。
金光明経に云わく「もし人有って、その国土において、この経有りといえども、いまだかつて流布せしめず、捨離の心を生じて聴聞せんことを楽わず、また供養・尊重・讃歎せず。四部の衆・持経の人を見て、また尊重乃至供養すること能わず。ついに、我らおよび余の眷属の無量の諸天をして、この甚深の妙法を聞くことを得ず、甘露の味に背き、正法の流れを失い、威光および勢力有ることなからしむ。悪趣を増長して人天を損減し、生死の河に墜ちて、涅槃の路に乖かん。世尊よ。我ら四王ならびに諸の眷属および薬叉等、かくのごとき事を見て、その国土を捨てて擁護の心無けん。ただ我らのみこの王を捨棄するにあらず、必ず無量の国土を守護する諸大善神有らんも、みな捨て去らん。既に捨離し已われば、その国、当に種々の災禍有って国位を喪失すべし。一切の人衆、皆善心無く、ただ繫縛・殺害・瞋諍のみ有って、たがいに讒諂し、枉げて辜無きに及ぼさん。疫病流行し、彗星しばしば出で、両日並び現じ、薄蝕恒無く、黒白の二虹不祥の相を表し、星流れ地動き、井の内に声を発
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(025)災難対治抄 | 正元2年(’60)2月 | 39歳 |