SOKAnetトップ

『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 また仏の滅後一千五百余年にあたりて、月氏よりは東に漢土という国あり。陳・隋の代に天台大師出世す。この人の云わく「如来の聖教に大あり小あり、顕あり密あり、権あり実あり。迦葉・阿難等は一向に小を弘め、馬鳴・竜樹・無著・天親等は権大乗を弘めて、実大乗の法華経をば、あるいはただ指をさして義をかくし、あるいは経の面をのべて始中終をのべず。あるいは迹門をのべて本門をあらわさず。あるいは本迹あって観心なし」といいしかば、南三北七の十流が末数千万人、時をつくり、どっとわらう。「世の末になるままに不思議の法師も出現せり。時にあたりて我らを偏執する者はありとも、後漢の永平十年丁卯歳より今陳・隋にいたるまでの三蔵・人師二百六十余人を、『ものもしらず』と申す上、『謗法の者なり、悪道に堕つ』という者出来せり。あまりのものぐるわしさに、法華経を持て来り給える羅什三蔵をも、ものしらぬ者と申すなり。漢土はさてもおけ、月氏の大論師の竜樹・天親等の数百人の四依の菩薩もいまだ実義をのべ給わずというなり。これをころしたらん人は、鷹をころしたるものなり。鬼をころすにもすぐべし」とののしりき。
 また妙楽大師の時、月氏より法相・真言わたり、漢土に華厳宗の始まりたりしをとかくせめしかば、これもまたさわぎしなり。
 日本国には、伝教大師、仏の滅後一千八百年にあたりていでさせ給い、天台の御釈を見て、欽明より已来二百六十余年が間の六宗をせめ給いしかば、「在世の外道、漢土の道士、日本に出現せり」と謗ぜし上、「仏の滅後一千八百年が間、月氏・漢土・日本になかりし円頓の大戒を立てん」というのみならず、「西国の観音寺の戒壇、東国下野の小野寺の戒壇、中国大和国の東大寺の戒壇は、同じく小