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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

に、上もあだみ下も悪む。日本一同に法華経と行者との大怨敵となりぬ。
 こう申せば、日本国の人々ならびに日蓮が方の中にも物におぼえぬ者は、「人に信ぜられんと、あらぬことを云う」と思えり。これは、仏法の道理を信じたる男女に知らせんりょうに申す。各々の心にまかせ給うべし。
 妙荘厳王品と申すは、殊に女人の御ために用いることなり。妻が夫をすすめたる品なり。末代に及んでも、女房の男をすすめんは、名こそかわりたりとも功徳はただ浄徳夫人のごとし。
 いおうや、これは女房も男も共に御信用あり。鳥の二つの羽そなわり、車の二つの輪かかれり。何事か成ぜざるべき。天あり地あり、日あり月あり、日てり雨ふる、功徳の草木花さき菓なるべし。
 次に勧発品と申すは、釈迦仏の御弟子の中に僧はあまたありしかども、迦葉・阿難、左右におわしき。王の左右の臣のごとし。これは小乗経の仏なり。また普賢・文殊と申すは、一切の菩薩多しといえども、教主釈尊の左右の臣なり。
 しかるに、一代超過の法華経八箇年が間、十方の諸の仏菩薩等、大地微塵よりも多く集まり候いしに、左右の臣たる普賢菩薩のおわせざりしは不思議なりしことなり。しかれども、妙荘厳王品をとかれて、さておわりぬべかりしに、東方宝威徳浄王仏の国より万億の伎楽を奏し、無数の八部衆を引率して、おくればせして参らせ給いしかば、仏の御きそくやあしからんずらんと思いし故にや、色かえて末代に法華経の行者を守護すべきようをねんごろに申し上げられしかば、仏も、法華経を閻浮に流布せんことことにねんごろなるべきと申すにや、めでさせ給いけん、返って上の上位よりも、こと