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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 善鬼が法華経の怨を食らうことは、官兵の朝敵を罰するがごとし。悪鬼が法華経の行者を食らうは、強盗・夜討ち等が官兵を殺すがごとし。
 例せば、日本国に仏法の渡ってありし時、仏法の敵たりし物部大連守屋等も疫病をやみき。蘇我宿禰馬子等もやみき。欽明・敏達・用明の三代の国王は、心には仏法・釈迦如来を信じまいらせ給いてありしかども、外には国の礼にまかせて天照太神・熊野山等を仰ぎまいらせさせ給いしかども、仏と法との信はうすく神の信はあつかりしかば、強きにひかれて三代の国王、疫病疱瘡にして崩御ならせ給いき。
 これをもって上の二鬼をも、今の代の世間の人々の疫病をも、日蓮が方のやみしぬをも心うべし。されば、身をすてて信ぜん人々はやまぬへんもあるべし。またやむともたすかるへんもあるべし。また大悪鬼に値いなば命を奪わるる人もあるべし。例せば、畠山重忠は日本第一の大力の大将なりしかども、多勢には終にほろびぬ。
 また、日本国の一切の真言師の悪霊となれると、ならびに禅宗・念仏者等が、日蓮をあだまんがために国中に入り乱れたり。また梵釈・日月・十羅刹の眷属、日本国に乱入せり。両方互いに責めとらんとはげむなり。しかるに、十羅刹女は、総じて法華経の行者を守護すべしと誓わせ給いて候えば、一切の法華経を持つ人々をば守護せさせ給うらんと思い候に、法華経を持つ人々も、あるいは「大日経はまされり」など申して真言師が法華経を読誦し候は、かえりてそしるにて候なり。また余の宗々もこれをもって押し計るべし。