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長者の一子に一切の財宝をゆずるがごとし。
妙音品と申すは、東方の浄華宿王智仏の国に妙音菩薩と申せし菩薩あり。昔の雲雷音王仏の御代に妙荘厳王の后・浄徳夫人なり。昔法華経を供養して、今妙音菩薩となれり。
釈迦如来の娑婆世界にして法華経を説き給うに、まいりて、約束申して、末代の女人の法華経を持ち給うをまもるべしと云々。
観音品と申すは、また普門品と名づく。始めは観世音菩薩を持ち奉る人の功徳を説いて候。これを観音品と名づく。後には観音の持ち給える法華経を持つ人の功徳をとけり。これを普門品と名づく。
陀羅尼品と申すは、二聖・二天・十羅刹女の法華経の行者を守護すべき様を説けり。二聖と申すは薬王と勇施となり。二天と申すは毘沙門と持国天となり。十羅刹女と申すは十人の大鬼神女、四天下の一切の鬼神の母なり。また十羅刹女の母あり。鬼子母神これなり。鬼のならいとして人を食す。人に三十六物あり。いわゆる糞と尿と唾と肉と血と皮と骨と五蔵と六腑と髪と毛と気と命等なり。しかるに、下品の鬼神は糞等を食し、中品の鬼神は骨等を食す。上品の鬼神は精気を食す。この十羅刹女は、上品の鬼神として精気を食す。疫病の大鬼神なり。
鬼神に二つあり。一には善鬼、二には悪鬼なり。善鬼は法華経の怨を食す。悪鬼は法華経の行者を食す。今、日本国の去年・今年の大疫病は何とか心うべき。これを答うべき様は、一には善鬼なり。梵王・帝釈・日月・四天の許されありて、法華経の怨を食す。二には悪鬼が第六天の魔王のすすめによりて法華経を修行する人を食す。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(406)日女御前御返事(嘱累品等大意の事) | 弘安元年(’78)6月25日 | 57歳 | 日女 |