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悪知識は善法のためにあだなり」と。故に畏るべきは、大毒蛇・悪鬼神よりも、弘法・善導・法然等の流れの悪知識を畏るべし。略して邪見の失を明かすこと畢わんぬ。
この使いあまりに急ぎ候ほどに、とりあえぬさまに、かたはしばかりを申し候。この後、また便宜に委しく経釈を見調べてかくべく候。あなかしこ、あなかしこ。外見あるべからず候。もし命つれなく候わば、仰せのごとく明年の秋下り候いて、かつ申すべく候。恐々謹言。
十二月五日 日蓮 花押
星名五郎太郎殿御返事
(403)
さだしげ殿御返事
建治2年(ʼ76)12月20日 55歳 さだしげ殿
さきざきに申しつるがごとし。世間の学者、仏法を学問して智慧を明らめて、我も我もとおもいぬ。一生のうちにむなしくなりて、ゆめのごとくに申しつれども、唯一大事を知らず。よくよく心得させ給うべし。あなかしこ、あなかしこ。
十二月二十日 日蓮 花押
さだしげ殿御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(402)星名五郎太郎殿御返事 | 文永4年(’67)12月5日 | 46歳 | 星名五郎太郎 |
(403)さだしげ殿御返事 | 建治2年(’76)12月20日 | 55歳 | さだしげ殿 |