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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(401)

刑部左衛門尉女房御返事

 弘安3年(ʼ80)10月21日 59歳 刑部左衛門尉の妻

 今月飛来の雁書に云わく「この十月三日、母にて候もの十三年に相当たれり。銭二十貫文」等云々。
 夫れ、外典三千余巻には忠孝の二字を骨とし、内典五千余巻には孝養を眼とせり。不孝の者をば、日月も光をおしみ、地神も瞋りをなすと見えて候。
 ある経に云わく「六道の一切衆生、仏前に参り集まりたりしに、仏、彼らが身の上のことを一々に問い給いし中に、仏、地神に『汝、大地より重きものありや』と問い給いしかば、地神敬んで申さく『大地より重き物候』と申す。仏の曰わく『いかに地神、偏頗をば申すぞ。この三千大千世界の建立は皆大地の上にそなわれり。いわゆる須弥山の高さは十六万八千由旬、横は三百三十六万里なり。大海は縦横八万四千由旬なり。その外の一切衆生・草木等は、皆大地の上にそなわれり。これを持てるが大地より重き物有らんや』と問い給いしかば、地神答えて云わく『仏は知ろしめしながら、人に知らせんとて問い給うか。我、地神となること二十九劫なり。その間、大地を頂戴して候に、頸も腰も痛むことなし。虚空を東西南北へ馳走するにも重きこと候わず。ただし、不孝の者のすみ候所が、身にあまりて重く候なり。頸もいたく、腰もおれぬべく、膝もたゆく、足もひかれず、眼もくれ、