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めに、疫病を仏のあたえ給う。はげます心なり、すすむる心なり。
日蓮は凡夫なり。天眼なければ、一紙をもみとおすことなし。宿命なければ、三世を知ることなし。しかれども(中欠)この経文のごとく、日蓮は肉眼なれども、天眼・宿命□□□日本国七百余歳の仏眼の流布せしよう、八宗・十宗の邪正、漢土・月氏の論師・人師の勝劣、八万・十二の仏経の旨趣をあらあらすいちし□□我が朝の亡国となるべきこと、先にこれをかんがえて、あたかも符契のごとし。これ皆、法華経の御力なり。しかるを、国主は、讒臣等が凶言をおさめてあだをなせしかば、凡夫なれば道理なりとおもえて、退する心なかりしかども、度々あだをな□□。
美食をおさめぬ人なれば、力およばず山林にまじわり候いぬ。されども、凡夫なれば、かんも忍びがたく、熱をもふせぎがたし。食ともし、表□目が万里の一餐忍びがたく、思子孔が十旬の九飯堪うべきにあらず。読経の音も絶えぬべし。観心の心おろそかなり。
しかるに、たまたまの御とぶらい、ただ事にはあらず。教主釈尊の御すすめか、はたまた過去宿習の御催しか。方々紙上に尽くし難し。恐々謹言。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(394)閻浮提中御書 | 弘安元年(’78) | 57歳 |