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れしとも申すばかりなし。尼ごぜんにも、このよしをつぶつぶとかたり申させ給い候え。法門のこと、こまごまとかきつえ申すべく候えども、事ひさしくなり候えば、とどめ候。
ただし、禅宗と念仏宗と律宗等のことは、少々前にも申して候。真言宗がことにこの国ととうどとをばほろぼして候ぞ。善無畏三蔵・金剛智三蔵・不空三蔵・弘法大師・慈覚大師・智証大師、この六人が大日の三部経と法華経との優劣に迷惑せしのみならず、三三蔵、事をば天竺によせて両界をつくりいだし、狂惑しけるを、三大師うちぬかれて日本へならいわたし、国主ならびに万民につたえ、漢土の玄宗皇帝も代をほろぼし、日本国もようやくおとろえて、八幡大菩薩の百王のちかいもやぶれて、八十二代隠岐法皇、代を東にとられ給いしは、ひとえに三大師の大僧等がいのりしゆえに、還著於本人して候。関東はこの悪法・悪人を対治せしゆえに、十八代をつぎて百王にて候べく候いつるを、また、かの悪法の者どもを御帰依あるゆえに、一国には主なければ、梵釈・日月・四天の御計らいとして、他国におおせつけておどして御らんあり。また法華経の行者をつかわして御いさめあるをあやめずして、彼の法師等に心をあわせて世間・出世の政道をやぶり、法にすぎて法華経の御かたきにならせ給う。すでに時すぎぬれば、この国やぶれなんとす。
やくびょうは、すでにいくさにせんぷせん。まくるしるしなり。あさまし、あさまし。
二月二十三日 日蓮 花押
みさわどの
かえすがえす、するがの人々、みな同じ御心と申させ給い候え。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(385)三沢抄 | 建治4年(’78)2月23日 | 57歳 | 三沢殿 |