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も、おとこおんなのわかれほど、たっとげなかりけるはなし。過去遠々よりめの身となりしが、このおとこ、娑婆最後のぜんちしきなりけり。
ちりしはなおちしこのみはさきむすぶいかにこ人の返らざるらん
こぞもうくことしもつらき月日かなおもいはいつもはれぬものゆえ
法華経の題目をとなえまいらせて、まいらせ候。
十一月二日 日蓮 花押
持妙尼御前御返事
(365)
妙心尼御前御返事(妙の字功徳の事)
建治2年(ʼ76)または同3年(ʼ77)の5月4日 55歳または56歳 窪尼
すずのもの給びて候。
とうじはのう時にて人のいとまなき時、かようにくさぐさのものどもおくり給びて候こと、いかにとも申すばかりなく候。これもひとえに、故入道殿の御わかれのしのびがたきに、御後世の御ためにてこそ候らんめ。ねんごろにごせをとぶらわせ給い候えば、いくそばくうれしくおわしますらん。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(364)持妙尼御前御返事 | 建治2年(’76)11月2日 | 55歳 | 窪尼 |
(365)妙心尼御前御返事(妙の字功徳の事) | 建治2年(’76)または同3年(’77)の5月4日 | 55歳または56歳 | 窪尼 |