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よろこび給い候わんずらん。
中有の道にいかなることもいできたり候わば、「日蓮がでしなり」となのらせ給え。わずかの日本国なれども、さがみ殿のうちのものと申すをば、そうなくおそるること候。日蓮は日本第一のふとうの法師。ただし、法華経を信じ候ことは、一閻浮提第一の聖人なり。その名は十方の浄土にきこえぬ。定めて天地もしりぬらん。日蓮が弟子となのらせ給わば、いかなる悪鬼等なりとも、よもしらぬよしは申さじとおぼすべし。さては度々の御心ざし、申すばかりなし。恐々謹言。
八月十六日 日蓮 花押
妙心尼御前御返事
さるは木をたのむ。魚は水をたのむ。女人はおとこをたのむ。わかれのおしきゆえにかみをそり、そでをすみにそめぬ。いかでか十方の仏もあわれませ給わざるべき、法華経もすてさせ給うべきと、たのませ給え、たのませ給え。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(361)妙心尼御前御返事(病之良薬の事) | 建治元年(’75)8月16日 | 54歳 | 窪尼 |