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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

宿世のかたき、朝敵・怨敵のごとくあだむべし。
 その時、大いなる天変あるべし。いわゆる、日月蝕し、大いなる彗星天にわたり、大地震動して水上の輪のごとくなるべし。その後は、自界叛逆難と申して、国主・兄弟ならびに国中の大人を打ちころし、後には、他国侵逼難と申して、隣国よりせめられて、あるいはいけどりとなり、あるいは自殺をし、国中の上下万民、皆大苦に値うべし。これひとえに、上行菩薩のかびをこうぼりて法華経の題目をひろむる者を、あるいはのり、あるいはうちはり、あるいは流罪し、あるいは命をたちなんどするゆえに、仏前にちかいをなせし梵天・帝釈・日月・四天等の、法華経の座にて誓状を立てて「法華経の行者をあだまん人をば、父母のかたきよりもなおつよくいましむべし」とちかうゆえなりとみえて候に、今、日蓮、日本国に生まれて、一切経ならびに法華経の明鏡をもって日本国の一切衆生の面に引き向けたるに、寸分もたがわぬ上、仏の記し給いし天変あり地夭あり。
 定めてこの国亡国となるべしとかねてしりしかば、これを国主に申すならば、国土安穏なるべくば、たずねあきらむべし。亡国となるべきならば、よも用いじ。用いぬほどならば、日蓮は流罪・死罪となるべしとしりて候いしかども、仏いましめて云わく「このことを知りながら、身命をおしみて一切衆生にかたらずば、我が敵たるのみならず、一切衆生の怨敵なり。必ず阿鼻大城に堕つべし」と記し給えり。
 ここに日蓮、進退わずらいて、このことを申すならば我が身いかにもなるべし、我が身はさておきぬ、父母・兄弟ならびに千万人の中にも一人も随うものは、国主・万民にあだまるべし。彼らあだま