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日蓮、生まれし時よりいまに一日片時もこころやすきことはなし。この法華経の題目を弘めんと思うばかりなり。相かまえて相かまえて、自他の生死はしらねども、御臨終のきざみ、生死の中間に、日蓮かならずむかいにまいり候べし。三世の諸仏の成道は、ねうしのおわりとらのきざみの成道なり。仏法の住処、鬼門の方に三国ともにたつなり。これらは相承の法門なるべし。委しくは、またまた申すべく候。恐々謹言。
かつえて食をねがい、渇して水をしたうがごとく、恋いて人を見たきがごとく、病にくすりをたのむがごとく、みめかたちよき人、べに・しろいものをつくるがごとく、法華経には信心をいたさせ給え。さなくしては後悔あるべし云々。
弘安二年己卯卯月二十日 日蓮 花押
上野殿御返事
(325)
上野殿御返事(山中に財の事)
弘安2年(ʼ79)8月8日 58歳 南条時光
鵝目一貫・しお一たわら・蹲鴟一俵・はじかみ少々、使者をもって送り給び了わんぬ。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(324)上野殿御返事(刀杖難の事) | 弘安2年(’79)4月20日 | 58歳 | 南条時光 |
(325)上野殿御返事(山中に財の事) | 弘安2年(’79)8月8日 | 58歳 | 南条時光 |