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いき。いかにも今は叶うまじき世にて候えば、かかる山中にも入りぬるなり。
各々も不便とは思えども、助けがたくやあらんずらん。よるひる法華経に申し候なり。御信用の上にも力もおしまず申させ給え。あえてこれよりの心ざしのゆわきにはあらず。各々の御信心のあつくうすきにて候べし。
たいしは、日本国のよき人々は、一定いけどりにぞなり候わんずらん。あらあさましや、あらあさましや。恐々謹言。
後三月二十四日 日蓮 花押
南条殿御返事
(309)
九郎太郎殿御返事(家の芋供養の事)
建治2年(ʼ76)9月15日 55歳 九郎太郎〈南条殿の縁者〉
いえの芋一駄、送り給び候。
こんろん山と申す山には玉のみ有って石なし。石ともしければ、玉をもって石をかう。ほうれいひんと申す浦には木草なし。いおもって薪をかう。鼻に病ある者は、せんだん香、用にあらず。眼なき
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(308)南条殿御返事(大橋太郎の事) | 建治2年(’76)閏3月24日 | 55歳 | 南条時光 |
(309)九郎太郎殿御返事(家の芋供養の事) | 建治2年(’76)9月15日 | 55歳 | 九郎太郎〈南条殿の縁者〉 |