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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(308)

南条殿御返事(大橋太郎の事)

 建治2年(ʼ76)閏3月24日 55歳 南条時光

 かたびら一つ・しおいちだ・あぶら五そう、給び候い了わんぬ。
 ころもはかんをふせぎ、また、ねつをふせぐ。みをかくし、みをかざる。法華経の第七やくおうほんに云わく「裸なる者の衣を得たるがごとし」等云々。心は、はだかなるもののころもをえたるがごとし。もんの心は、うれしきことをとかれて候。ふほうぞうの人のなかに商那和衆と申す人あり。衣をきてむまれさせ給う。これは先生に仏法にころもをくようせし人なり。されば、法華経に云わく「柔和忍辱衣」等云々。
 こんろん山には石なし、みのぶのたけにはしおなし。石なきところには、たまよりもいしすぐれたり。しおなきところには、しお、こめにもすぐれて候。国王のたからは左右の大臣なり。左右の大臣をば塩梅と申す。みそ・しおなければ、よわたりがたし。左右の臣なければ、国おさまらず。
 あぶらと申すは、涅槃経に云わく「風のなかにあぶらなし。あぶらのなかにかぜなし」。風をじする第一のくすりなり。
 かたがたのものおくり給びて候。御心ざしのあらわれて候こと、申すばかりなし。せんずるとこ