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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 貴辺、年来の権宗を捨てて日蓮が弟子と成り給う。真実、時国相応の智人なり。総じて予が弟子等は、我がごとく正理を修行し給え。智者・学匠の身となりても、地獄に堕ちては何の詮か有るべき。詮ずるところ、時々念々に南無妙法蓮華経と唱うべし。
 上に挙ぐるところの法門は、御存知たりといえども、書き進らせ候なり。十八円満等の法門、能く能く案じ給うべし。ならびに当体蓮華の相承等、日蓮が己証の法門等、前々に書き進らせしがごとく、委しくは修禅寺相伝日記のごとし。天台宗の奥義これに過ぐべからざるか。一心三観・一念三千の極理は、妙法蓮華経の一言を出でず。あえて忘失することなかれ、あえて忘失することなかれ。伝教大師云わく「和尚、慈悲有って、一心三観を一言に伝う」。玄旨伝に云わく「一言の妙旨、一教の玄義」云々。
 寿量品に云わく「つねに自らこの念を作す。何をもってか衆生をして、無上道に入り、速やかに仏身を成就することを得しめんと」云々。「つねに自らこの念を作す」の「念」とは、一念三千、生仏本有の一念なり。秘すべし、秘すべし。恐々謹言。
  弘安三年十一月三日    日蓮 花押
 最蓮房にこれを送る。