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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 問うて云わく、末法において流布の法の名目いかん。
 答えて云わく、日蓮が己心相承の秘法、この答えに顕すべきなり。いわゆる南無妙法蓮華経これなり。
 問うて云わく、証文いかん。
 答えて云わく、神力品に云わく「その時、仏は上行等の菩薩に告げたまわく、要をもってこれを言わば乃至宣示顕説す」云々。天台大師云わく「『その時、仏は上行に告げたまわく』より下は、第三に結要付嘱なり」。また云わく「経中の要説、要は四事に在り。総じて一経を結するに、ただ四つあるのみ。その枢柄を撮って、これを授与す」。
 問うて云わく、今の文は上行菩薩等に授与する文なり。汝、何が故ぞ己心相承の秘法と云うや。
 答えて云わく、上行菩薩の弘通し給うべき秘法を日蓮先立ってこれを弘む。身に当たるの意にあらずや。上行菩薩の代官の一分なり。
 詮ずるところ、末法に入って天真独朗の法門無益なり。助行には用いるべきなり。正行にはただ南無妙法蓮華経のみなり。伝教大師云わく「天台大師は釈迦に信順し法華宗を助けて震旦に敷揚し、叡山の一家は天台に相承し法華宗を助けて日本に弘通す」。
 今、日蓮は、塔中相承の南無妙法蓮華経の七字を、末法の時、日本国に弘通す。これあに時国相応の仏法にあらずや。末法に入って天真独朗の法を弘めて正行となさんの者は、必ず無間大城に堕ちんこと疑いなし。