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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 蓮に六つの勝能有り。一には、自性清浄にして泥濁に染まらず〈理即〉。二には、華・台・実の三種、具足して減ずることなし〈名字即。諸法即ちこれ三諦と解了するが故に〉。三には、初め種子より実を成ずるに至るまで、華・台・実の三種、相続して断ぜず〈観行即。念々相続して、修に廃無きが故に〉。四には、華葉の中に在って、未熟の実、真の実に似たり〈相似即〉。五には、華開き、蓮現ず〈分真即〉。六には、華落ちて蓮成ず〈究竟即〉。この義をもっての故に六即の深義は、源、蓮の字より出でたり。
 次に蓮の用とは、六即円満の徳に由って常に化用を施すが故なり。
 次に蓮の教とは、本有の三身たる果海の蓮性に住して常に浄法を説き、八相成道し、四句成利す。和尚いわく『証道の八相は無作の三身なるが故に四句の成道は蓮教の処に在り。ただ無作の三身を指して本覚の蓮となす。この本蓮に住して常に八相を唱え、常に四句の成道を作すが故なり』と」已上。
 修禅寺相伝日記これを見るに、妙法蓮華経の五字において各々五重玄なり〈蓮の字の五重玄義かくのごとし。余はこれを略す〉。
 日蓮案じて云わく、この相伝の義のごとくんば、万法の根源、一心三観、一念三千、三諦、六即、境智の円融、本迹の所詮、源、蓮の一字より起こるものなり云々。
 問うて云わく、総説の五重玄とはいかん。
 答えて云わく、
 「総説の五重玄とは、妙法蓮華経の五字即ち五重玄なり。妙は名、法は体、蓮は宗、華は用、経は教なり。また総説の五重玄に二種有り。一には仏意の五重玄、二には機情の五重玄なり。