1793ページ
一閻浮提第一の御本尊を信じさせ給え。あいかまえて、あいかまえて、信心つよく候いて、三仏の守護をこうむらせ給うべし。
行学の二道をはげみ候べし。行学たえなば仏法はあるべからず。我もいたし、人をも教化候え。行学は信心よりおこるべく候。力あらば一文一句なりともかたらせ給うべし。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。恐々謹言。
五月十七日 日蓮 花押
追って申し候。日蓮が相承の法門等、前々かき進らせ候いき。ことにこの文には大事の事どもしるしてまいらせ候ぞ。不思議なる契約なるか。六万恒沙の上首・上行等の四菩薩の変化か。さだめてゆえあらん。総じて日蓮が身に当たっての法門わたしまいらせ候ぞ。日蓮、もしや六万恒沙の地涌の菩薩の眷属にもやあるらん。南無妙法蓮華経と唱えて、日本国の男女をみちびかんとおもえばなり。経に云わく「一に上行と名づく乃至唱導の師なり」とは説かれ候わぬか。まことに宿縁のおうところ、予が弟子となり給う。この文あいかまえて秘し給え。日蓮が己証の法門等かきつけて候ぞ。とどめ畢わんぬ。
最蓮房御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(280)諸法実相抄 | 文永10年(’73)5月17日 | 52歳 | 最蓮房 |