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諸法実相抄
文永10年(ʼ73)5月17日 52歳 最蓮房
日蓮これを記す。
問うて云わく、法華経の第一の方便品に云わく「諸法実相乃至本末究竟等」云々。この経文の意いかん。
答えて云わく、下地獄より上仏界までの十界の依正の当体、ことごとく一法ものこさず妙法蓮華経のすがたなりという経文なり。
依報あるならば、必ず正報住すべし。釈に云わく「依報・正報、常に妙経を宣ぶ」等云々。また云わく「実相は必ず諸法、諸法は必ず十如、十如は必ず十界、十界は必ず身土」云々。また云わく「阿鼻の依正は全く極聖の自心に処し、毘盧の身土は凡下の一念を逾えず」云々。これらの釈義分明なり。誰か疑網を生ぜんや。
されば、法界のすがた、妙法蓮華経の五字にかわることなし。釈迦・多宝の二仏というも、妙法等の五字より用の利益を施し給う時、事相に二仏と顕れて、宝塔の中にしてうなずき合い給う。かくのごとき等の法門、日蓮を除いては申し出だす人、一人もあるべからず。天台・妙楽・伝教等は、心に
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(280)諸法実相抄 | 文永10年(’73)5月17日 | 52歳 | 最蓮房 |