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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(279)

祈禱経送状

 文永10年(ʼ73)1月28日 52歳 最蓮房

 御札の旨、委細承り候い畢わんぬ。兼ねてはまた、末法に入って法華経を持ち候者は三類の強敵を蒙り候わんことは、面拝の時、大概申し候い畢わんぬ。仏の金言にて候上は、不審を致すべからず候か。しからば則ち、日蓮もこの法華経を信じ奉り候いて後は、あるいは頭に疵を蒙り、あるいは打たれ、あるいは追われ、あるいは頸の座に臨み、あるいは流罪せられ候いしほどに、結句はこの島まで遠流せられ候いぬ。
 いかなる重罪の者も現在ばかりこそ罪科せられ候え。日蓮は三世の大難に値い候いぬと存じ候。その故は、現在の大難は今のごとし。過去の難は、当世の諸人等が申すごとくば、「如来在世の善星・俱伽利等の大悪人が重罪の余習を失せずして如来の滅後に生まれて、かくのごとく仏法に敵をなす」と申し候これなり。次に未来の難を申し候わば、当世の諸人の部類等謗じ候わん様は、「この日蓮房は、存生の時は種々の大難にあい、死門に趣くの時は自身を自ら食して死ぬる上は、定めて大阿鼻地獄に堕在して無辺の苦を受くるらん」と申し候わんずるなり。
 古より已来、世間・出世の罪科の人、貴賤上下、持戒・毀戒、凡聖に付けて多く候えども、ただそ