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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

れは現在ばかりにてこそ候に、日蓮は現在は申すに及ばず、過去・未来に至るまで三世の大難を蒙り候わんことは、ただひとえに法華経の故にて候なり。日蓮が三世の大難をもって、法華経の三世の御利益を覚しめされ候え。過去久遠劫より已来未来永劫まで、妙法蓮華経の三世の御利益尽くすべからず候なり。日蓮が法華経の方人を少分仕り候だにも、かようの大難に遇い候。まして釈尊の世々番々の法華経の御方人を思い遣りまいらせ候に、道理申すばかりなくこそ候え。されば、勧持品の説相は暫時も廃せず、ことさら、ことさら、貴く覚え候。
 一、御山籠もりの御志のこと、およそ末法折伏の行に背くといえども、病者にて御座しまし候上、天下の災・国土の難強盛に候わん時、我が身につみ知られ候わざらんより外は、いかに申し候とも国主信ぜられまじく候えば、日蓮なお籠居の志候。まして御分の御事は、さこそ候わんずらめ。たとい山谷に籠居候とも、御病も平癒して便宜も吉く候わば、身命を捨てて弘通せしめ給うべし。
 一、仰せを蒙り候末法の行者息災延命の祈禱のこと、別紙に一巻註し進らせ候。毎日一返、闕如無く読誦せらるべく候。日蓮も信じ始め候いし日より、毎日これらの勘文を誦し候いて、仏天に祈誓し候によりて、種々の大難に遇うといえども、法華経の功力、釈尊の金言、深重なる故に、今まで相違無く候なり。
 それにつけても、法華経の行者は、信心に退転無く、身に詐親無く、一切法華経にその身を任せて金言のごとく修行せば、たしかに後生は申すに及ばず、今生も息災延命にして勝妙の大果報を得、広宣流布の大願をも成就すべきなり。