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ぼえ候え。
日蓮こいしくおわせば、常に出ずる日、ゆうべにいずる月をおがませ給え。いつとなく日月にかげをうかぶる身なり。また後生には、霊山浄土にまいりあいまいらせん。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。
六月十六日 日蓮 花押
さどの国のこうの尼御前
阿仏御房尼ごぜんより、ぜに三百文。同心なれば、この文を二人して人によませてきこしめせ。
(270)
国府入道殿御返事
建治2年(ʼ76)4月12日 55歳 国府入道夫妻
人の御心は定めなきものなれば、うつる心さだめなし。さどの国に候いし時御信用ありしだにもふしぎにおぼえ候いしに、これまで入道殿をつかわされし御心ざし、また国もへだたり、年月もかさなり候えば、たゆむ御心もやとうたがい候に、いよいよいろをあらわし、こうをつませ給うこと、ただ一生二生のことにはあらざるか。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(269)国府尼御前御書 | 建治元年(’75)6月16日 | 54歳 | 国府尼 |
(270)国府入道殿御返事 | 建治2年(’76)4月12日 | 55歳 | 国府入道夫妻 |