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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(269)

国府尼御前御書

 建治元年(ʼ75)6月16日 54歳 国府尼

 単衣一領、佐渡国より甲斐国波木井郷の内の深山まで送り給び候い了わんぬ。
 法華経第四の法師品に云わく「人有って仏道を求めて、一劫の中において、合掌し我が前に在って、無数の偈をもって讃めば、この讃仏によるが故に、無量の功徳を得ん。持経者を歎美せば、その福はまた彼に過ぎん」等云々。
 文の心は、釈尊ほどの仏を三業相応して一中劫が間ねんごろに供養し奉るよりも、末代悪世の世に法華経の行者を供養せん功徳はすぐれたりととかれて候。まことしからぬことにては候えども、仏の金言にて候えば疑うべきにあらず。その上、妙楽大師と申す人、この経文を重ねてやわらげて云わく「もし毀謗せん者は頭七分に破れ、もし供養せん者は福十号に過ぎん」等云々。釈の心は、末代の法華経の行者を供養するは、十号具足しまします如来を供養したてまつるにもその功徳すぎたり、また、濁世に法華経の行者のあらんを留難をなさん人々は、頭七分にわるべしと云々。
 夫れ、日蓮は日本第一のえせ者なり。その故は、天神七代はさておきぬ、地神五代またはかりがたし。人王始まって神武より当今まで九十代、欽明より七百余年が間、世間につけ仏法によせても、日