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佐渡国よりこの国までは山海を隔てて千里に及び候に、女人の御身として法華経を志しましますによりて、年々に夫を御使いとして御訪いあり。定めて法華経・釈迦・多宝・十方の諸仏、その御心をしろしめすらん。
譬えば、天月は四万由旬なれども、大地の池には須臾に影浮かび、雷門の鼓は千万里遠けれども、打てば須臾に聞こゆ。御身は佐渡国におわせども、心はこの国に来れり。仏に成る道もかくのごとし。我らは穢土に候えども、心は霊山に住むべし。御面を見てはなにかせん、心こそ大切に候え。
いつかいつか、釈迦仏のおわします霊山会上にまいりあい候わん。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。恐々謹言。
弘安元年後十月十九日 日蓮 花押
千日尼御前御返事
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(266)千日尼御前御返事(雷門鼓御書) | 弘安元年(’78)閏10月19日 | 57歳 | 千日尼 |